アコースティックギター製作家 杉田健司とそのスタッフによるギター製作やリペア作業の様子を紹介

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Carrera DS

有名ギタリストが使っている米製作家のギターのリペアが四本集まっている。しかもどれも新品のリペアだ。トラスロッド交換やらフレット位置が違うので指板交換やらブリッジの位置も・・・僕は工作家、ギター製作家として物を見てしまうからどうしても仕事の荒さが気になってしまう。これが世の中で高く評価されるとは同じギター製作家として納得いかないという気持ちはある。

Bunny Ear なかなか良いぞ

ちょうど新作のカレラ・ドレッドノートの弦長がこれまでより短い645mmのギターが完成間近で、我ながら結構良いではないか!と悦に入ってた。だがリペア中のギターと引き較べたとき、「やはりこの米人製作家が高く評価されるのはたしかにわかるなあ。」と思う。

ギターってただひたすら工作精度が高ければそれで良い訳ではないのだなあとつくづく思う。

※ 「引き較べ」は誤字ではない。僕が弾いたとき、周りが引くほど下手という意味だ。

突っ込みどころ満載のギターが高く評価される一方でこんな話がある。

先日ある人から「あなたのギターの作り方はネックを敢えてしなやかに作っているそうだが、そのためにチューニングを変えた時にネックの状態が微妙に変わるということでこれはいかがなものか?」というような指摘を受けた。つまり製品として完璧ではないということだ。

ギターの勘所って何だろう?完璧って何だろう?僕は弾く事を楽しめる演出が必要だと思う。弦の張力が変われば、また気候が変わってもネックもトップも状態は変わる。それらも含めて弾きこなすものではないだろうか?例えば古いスポーツカーとか(車のことは良く知らんけど)今のファミリーカーなんかよりはるかに燃費も悪いし乗り心地、etc. どこをとっても良い点は無いと思うが。惹かれるところがあるし、好きな人はこれこそ良い車だと思ってる。(事実嫁の兄はそんな人だ)ギターなんて趣味の世界なんだからそんな部分が残っているぐらいがちょうど良いのではないだろうか?

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相変わらず考えさせられる深~い話ですね。
結局は人それぞれストライクゾーンが違うから、多くの人が共通して持つストライクゾーンにいるギターが高く評価されるって事でしょうか?

ちなみに私のストライクゾーンではトラスロッドが効かないとか、フレット位置が違うというのは、デッドボールの危険球かな?(^^;
ネックの動きにしても、通常のドロップチューニングで、明らかに逆反りが原因でビビリがひどいようでは「ダメ」かなぁ…

車の場合、いくら高性能なエンジンを積んでいても、ブレーキが効かない、ハンドルが曲がらないでは根本的に車としてダメですよね…もちろん、そんなのを乗りこなすのがたまらないという方もおられるでしょうが…ただ、多くの方はそんな代物に大金を出しません。だから、修理に出ているのでしょう…。

米製作家が誰かちょっと気になりますが、私は杉田さんの向かっている方向がベストだと思います。

「完璧なギター」は確かに存在するけど、
万人にとって「完璧なギター」は存在しない と思います。
「完璧なギター」は、結局はその個人にとってのみ存在するのではないでしょうか?

ですから、杉田さんのギターのネックについてのクレームは気にする必要はないと思いますよ。
その方がネックの動かない他のギターを買えばよいだけであって、杉田さんは、「杉田さんのストライクゾーン」で制作すれば良いだけだと思います。

理屈っぽくなってごめんなさい。

肝心な事はさじ加減かなあ?と思っています。正確であるべき部分もあるし、ゆるーい所もあって、でもそれは「こいつカワイイじゃないか」ぐらいで許容できるというか愉しさとしてユーザーの心をくすぐる演出ができたらいいなあと思っています。

うーーん すごいですね!
単純に手を抜くのではなく、「演出」として計算された手の抜き方?ってことでしょうか?
それは画家的な芸術の領域ですね!
もちろん杉田さんのギターは、木工技術、サウンドなど、既に芸術の領域に達していると思いますが、それが実現したらギターという枠を超えるかも?

私はほぼ毎日、Carerraを弾いていますが、その度に幸せな気分になれます。「こいつカワイイ」を超えて愛してますね(^^;
でも、オリジナルインレイを入れていただいて更にカワイクなってます。そこには「自分だけの」って心理が働くからなのでしょうか?

「ゆるーい所」がユーザーの心をくすぐるのは、そのギターが「他と一緒じゃないよ、僕は僕だよ!」って個性を主張している。そしてそれの唯一無二のギターを所有することの喜びに感じるからではないでしょうか?

杉田さんのおっしゃるとおり、あまりに完璧に同じように仕上げすぎると、量産の既製品のようなイメージを知らず知らずのうちに感じるのかもしれません。

「ゆるーい所」とは話がズレますが、パーソナリティってテーマで、一本一本バインディングの色を変えるとか、ピックガードインレイのデザインを微妙に変えていくなんてのはどうでしょう?
赤い月に白いトカゲとか、月の近くに一番星があるとか、
良く見るとトカゲの目がハートマークになってるとか…(^^
良く見ると月にロケットが刺さっているとか…(^^

すいません。悪乗りしすぎでした。

松浦さん。
>それは画家的な芸術の領域ですね!
そ、それはあまりにも恐れ多いので訂正させてください。
「計算された手の抜き方?」ではなくて「計算されたボケ」ということで・・・「芸術の領域」じゃなくて「芸人の領域」ぐらいにはなりたいなあと思ってます。(いつもスベッテますが・・)

「トカゲの目がハートマーク」はとくにグッときましたねえ。

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