アコースティックギター製作家 杉田健司とそのスタッフによるギター製作やリペア作業の様子を紹介

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For Jiro Yoshida

吉田次郎さんのオーダーにより、先月納品したナイロン弦モデル rotbox II がいよいよステージで活躍し始めた。

14フレットジョイントネックにカッタウェイ、サウンドホールは低音弦側にシフトした独特なかたちのモデルだ。
これは「26フレットぐらいまでは欲しい!」との要望に応えるために考えたのがこのかたちだった。そしてさらに、「エエィ!ならばもっと!」と28Fまで延長したのだけど良い意味で裏切れたかなあ。

これを使いこなしてしまう吉田次郎さんのテクニックも音楽性も素晴らしい。
もともとちょっとした思いつきで「これをやったら面白いだろうなあ」と、ナイロン弦では今まで無かったと思うローワイドのフレットを採用したのも当たった!これをやってみて超一流プレイヤーのレビューは大いに勉強になった。

だけど思いの外フレッティング作業が難しい。

このギターが持つ象徴的なデザインをサウンドに表現するべくG#の高音まで全帯域に渡って艶のある音を出せたのではないかと、、、ここはプレイヤー吉田次郎さんによるギターのポテンシャルを引き出せる力によるものですが。
また、ピックアップは M-factory 三好英明さんによるものだ。これによりアコースティックサウンドがバンドの中で埋もれることなく表現されている。
僕が18歳の時、ギターを作り始めた頃に思い描いていた目標が “より高品位なエレクトリックアコースティックを作る” だった。でも当時は、「お前、そんなオモチャ作るんか?」と随分バカにされた。つまりアコースティックを極めるというのが筋であり、そんなPUで誤魔化すなど邪道だということだ。でも、まもなく時代はそれを求めはじめると僕は思っていた。
37年前のそんな想いを今、超一流プレイヤーと超一流PUメーカーのお力添えで実現できたことを嬉しく思う。